相続あれこれ 2024年6月号

※こちらの記事は過去に配信していたオーナー様向け情報より転記したものです。内容は2024年6月14日時点の内容となります。

高齢者の5人に1人が認知症に?2025年問題に備えて

現在「2025年問題」という言葉をよく耳にします。厚生労働省の推計(認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン))によれば、2025年には認知症患者数は700万人前後に達し、65歳以上の高齢者の約5人に1人が認知症を発症するという予測があります。また65歳以上の高齢者を65歳以上の高齢者が介護する「老老介護」は、社会問題となっており、中には80歳を過ぎても働いていらっしゃる方もいて、元気な高齢者が日本を支えてくれているとも言えますが、高齢化社会・認知症問題は他人事ではありません。

そしてこのリスクは当然に相続にも密接に当てはまります。高齢化社会での相続対策は、相続発生時の対策だけでなく、被相続人の意思能力、判断能力が衰える前に対策を講じておくことが重要となります。

認知症を発症してしまった場合、ご家族にとってどんなに良い方法があっても財産を減らしたり、活用することができなくなり、預金の引出しや、財産売却、遺言等々の相続対策ができなくなります。

では、認知症になってしまうとどうして相続対策ができないのでしょうか?

民法では認知症を発症した人は「判断能力のない者」として扱われてしまう可能性があり、判断能力がない人の法律行為は無効になってしまう可能性があります。法律行為には相続対策も含まれるため認知症の人が行う相続対策等も無効として扱われてしまいます。
認知症になる前にどのような対策を取れば、相続対策ができるのでしょうか?

今回は有効な対策方法を2つご紹介します。

任意後見制度による対策

後見制度には法定後見制度のほかに「任意後見制度」があります。

認知症等で判断能力が低下した時に備え、事前に財産の管理を第三者に任せる契約をしておくのが任意後見制度です。任意後見制度は法定後見制度と異なり、後見人の意思で被後見人を選べ、その被後見人に財産の処分・管理等を託すことができます。任意後見制度を利用するには、後見人と被後見人候補との間で「任意後見契約」を締結する必要があります。認知症と診断されてからでは、法定後見制度しか使えません。早い段階から任意後見制度を利用して、信頼のおける第三者に財産の管理を託し、相続対策をしておきましょう。

家族信託による対策

家族信託とは認知症による資産凍結リスクを防ぐ相続の生前対策です。自分の財産を「誰に」「どのような目的で」「いつ」渡すかということをあらかじめ元気なうちに定めて「信頼できる相手」と契約をして財産管理の権利を移し、将来その契約を確実に実行させていくことを取り決めます。多くの場合、父母、祖父祖母の財産を、面倒を見ている子や孫、姪や甥が受託者となって財産を管理していく制度です。家族が認知症になることで起こるトラブル(預金の引出しや贈与、所有不動産の売却、財産の処分等々)を防ぐことができると注目されている相続対策です。

自分は認知症なんてかからないとお考えの方でも、元気な今のうちにしっかりと対策をしておくことをお勧めします。生前対策は早いに越したことはないです。方向性だけでも決めておくと、その後の対策・対応が大きく変わってきます。認知症になってからでは相続対策は全くできません。スムーズな相続を行うためにも「任意後見制度」や「家族信託」等の対策の検討を始められてはいかがでしょうか。 当社には相続の専門家、コンサルタントが在籍しています。まずはお気軽にご相談ください。