相続あれこれ 2020年11月号

※こちらの記事は過去に配信していたオーナー様向け情報より転記したものです。内容は2020年11月13日時点の内容となります。

相続税の納税猶予と生産緑地

 「生産緑地」とは、生産緑地地区の区域内の土地または森林のことです。生産緑地の指定を受けるにあたって、以下に掲げる条件に該当する一団のものの区域については生産緑地地区として定めることができます。

【生産緑地地区とは】
  1. 市街化区域内の農地等であること
  2. 公害等の防止に役立つなど農林漁業と調和した都市環境の保全等の効用を有していること
  3. 公園や緑地などの公共施設等の敷地として適していること
  4. 面積が500㎡以上の良好に耕作されている農地
  5. 用排水等の営農継続可能条件を備えていること

「生産緑地地区の農地」は生産緑地法により転用が規制されているため、評価及び課税にあたっては一般農地と同様の取扱いとされています。通常、特定市街化区域農地(三大都市圏の市街化区域農地)は宅地並課税となりますが、生産緑地に指定されることで、大都市部においても固定資産税や都市計画税が一般農地並みの扱いとなり、税金が少なくなります。

【生産緑地と納税猶予】

 また、相続や遺贈により取得した生産緑地市区の農地を、引き続き農業のために使用する場合、一定の要件の下に相続税の一定額の納税猶予を申請することができます。納税猶予の特例とは、農業を営んでいた被相続人から、農業の用に供されていた農地等を相続等により取得した農業相続人が、その農地等において引き続き農業を営む場合には、一定の要件の下に相続税額の納税を猶予するというものです。この特例は、農業経営を継続するための猶予制度なので、農業相続人が死亡した場合など、一定の事由に該当しない限り免除されません。
 譲渡や農地以外への転用、または農業経営の廃止等、農業を営まなくなった場合や、生産緑地の指定解除によっても、納税猶予は打ち切りになります。納税猶予された相続税が免除されるのは農業相続人が死亡したときのみで生産緑地の指定解除や農業経営の廃止で、自動的に納税猶予が免除される訳ではないので、注意が必要です。
 納税猶予が打ち切られた場合、相続時にまで遡って課税されます。猶予されていた本来の相続税と、猶予期間に応じた利子税を合わせて納付しなければならず、多額の税金が課せられることになります。