相続あれこれ 2020年10月号

※こちらの記事は過去に配信していたオーナー様向け情報より転記したものです。内容は2020年10月15日時点の内容となります。

賃貸借契約時に相続が発生したら場合の権利と手続き

賃貸管理の現場で、賃貸人様または賃借人様のご家族から
「いついつ亡くなりました。どのような手続きをすればよろしいでしょうか。」とご連絡を頂く事がございます。
賃貸人様・賃借人様がお亡くなりになったら、分割協議前でしたら、相続人代表者をどなたか教えて頂き、諸々の変更手続きをしていきます。

 最近、当社管理物件にお住まいの方から、「契約者である主人が突然亡くなり、どうしたら良いのでしょうか」とご連絡を頂きました。様々な手続きがある中で、直ぐにご連絡くださった奥様にお悔やみを申し上げつつ、ひとつひとつご説明をしました。

 賃貸借契約の場合には、賃料という対価を支払って使用収益の権利を確保しているのですから、借主が死亡しても賃貸借契約は終了せず、賃借人たる地位は相続の対象となります。したがって、賃借人が死亡した場合に、相続人が遠方に居住しているからといって、賃貸借契約が当然に終了するわけではありません。ただし、遠方に居住する相続人がいずれも当該借家を使用する必要性がなく、賃貸借契約関係の存続を希望しない場合は、貸主と借主の相続人との間で賃貸借契約を解約して終了させるということはあり得ます。

 今回のケースは、ご家族が「そのままこの部屋に住み続けたい」ということですので、賃借人変更の手続きをしますが、賃貸借契約を相続人との間で解約する場合には、以下に述べる相続後の法律関係に留意して行う必要があります。

 「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。」(民法896条) とされています。相続人が遠方に居住していても、借主が死亡したその時から賃貸借契約を相続により承継していることになります。さらに、相続人が複数いるときには、「相続人が数人あるときは、相続財産はその共有に属する。」(民法898条) とされていますので、借家権は相続人が準共有(所有権以外の財産権を共同で保有する場合は『準共有』といいます)していることになり、その持分割合については、「各共同相続人はその相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。」(民法899条) とされています。

 相続財産には、プラスの財産、マイナスの財産、どちらも相続します。もし、亡くなった方に賃料滞納がある場合、それも継承します。今回の方はそのようなことは全くなかったので、簡単に手続きができました。一方で、ご遺族の方からのお申出がないまま住み続け、新型コロナウイルスの影響で住宅確保支援金の申請をしようとしたら「契約者が違う」等で書類不備で申請を受けられないと慌ててご連絡くださる方もいらっしゃいます。色々なご事情があるご契約者様も多々いらっしゃいますので、管理者として注意を払っていかなくてはなりません。お手伝いできることは喜んでご対応させていただきますので、お気軽にお声掛けください。