相続あれこれ ⑦

※こちらの記事はリニューアル前の「小浜土地建物公式ホームページ」内より転記したものです。内容は2019年7月12日時点の内容となります。

<遺言信託について>

 遺言信託は、信託銀行やメガバンクで取扱っています。相続というと税金やら分割などで大変と考えている方が多くいらっしゃると思います。

日常生活にあまりなじみのないことですし、相続は被相続人の死亡という悲しいことが発生の大元ですからなるべく触れたくないと考える人がいることも事実です。そんなわからない不安なことを誰に相談するのかと見当もつかないというのは無理からぬことです。そうした中、大手銀行や信託銀行で遺言信託をすれば多少はお金がかかっても安心と思うことに不自然さはありません。

「銀行で遺言信託をしたらもう大丈夫。」これ本当でしょうか。実は私の身の回りで起きたことをお話しします。

ひとつは妻の実家の相続です。妻の父は銀行員でした。そんな関係で系列の信託銀行で遺言信託をしていましたので父の死後1ヶ月頃、信託銀行から妻に連絡がありました。遺言信託の事は父から聞いて知っていましたので、そのままお任せするつもりでいましたが、その担当者から「遺産の内容確定に時間がかかります。8月の下旬にはなんとかお知らせできますので、それまでお待ちください」とのこと。父は4月に亡くなりましたので8月下旬では3ヶ月を過ぎてしまいます。父は銀行退職後、ある機械メーカーの再建を任されていましたので、経営者保証などの可能性もあるので7月中にはすべてを明らかにして欲しいと言っても聞いてくれませんでした。色々と折衝してわかったのですが、その信託銀行の担当者は相続放棄や限定承認の期限を知らなかったのです。ですからこちらが開示を2ヶ月程度といっても、取りあってくれませんでした。止む無く上司の支店長に話して何とかこちらの要望通り開示して頂き、単純承認でいくことにしました。結果的には無事に終わりましたが、担当者、上司の課長と会って、驚くほど相続の知識がありませんでした。もちろん銀行には専門家もいるのでしょうが、郊外の支店では充分知識経験のあるスタッフがいないまま業務を請負っているのではと疑念が生じます。

 つい最近もお世話になった方が亡くなり、未亡人から遺言信託により公正証書遺言を作成してあると、その副本を見せて頂きました。その方にはお子さんがなく、未亡人と兄弟3人の4人が相続人です。ご主人は生前から法定相続分通りの分割を望んでいたそうです。銀行の作成した公正証書遺言にはその通り書かれていました。全財産の一覧が記され、それを妻に3/4、兄弟に1/4としか書かれていません。遺産は不動産と銀行預金でした。誰に何をと指定なく、ただ割合のみです。これでは不動産は共有にするか、分割協議をしなければなりません。何の為の遺言かと絶句です。

 日本を代表する銀行の遺言信託の一例を見てしまいました。一般の方は、銀行や信託銀行なら大丈夫と信頼をして信託するのでしょうが、一部の銀行やその支店には知識が不十分と疑わざるを得ないようなことがあります。もちろんほとんどの銀行や信託銀行には専門の知識と経験豊富なスッタフで対応されていることと思います。

 現在では相続の専門家を名乗るものが多くありますが、銀行でもこんなことが起きているとどこに相談をしたらよいのか不安です。相続に携わる専門家にも国家認定制度が必要かと思ってしまいます。