※こちらの記事はリニューアル前の「小浜土地建物公式ホームページ」内より転記したものです。内容は2019年5月10日時点の内容となります。
<賃貸オーナーのための相続対策>
高齢化社会といわれて久しい日本ですが、寿命は世界最高レベルを誇りながらも健康寿命となりますとちょっと心配な状況です。認知症患者数も増える傾向にあり、こうした患者の権利を擁護するために2000年4月の民法改正により従来の禁治産制度にかわり成年後見制度が施行されました。この制度が発足したことにより認知症患者等の意思能力を喪失した人(被成年後見人)の権利や財産を守ることが出来るようになりました。
制度が始まった頃は後見人には配偶者や子供や親族が選任されることが多かったのですが、後見人が被後見人の財産を流用するなどの背任行為が続出することがありました。その為、一定の財産を所有する被後見人の場合、申し立てた家族が後見人に選任されることが難しくなり、弁護士や司法書士といった専門家が家庭裁判所から後見人に指定されることが一般的になりました。こうした職業後見人が選任されると当然費用が掛かりますし、家族は被後見人の財産に触れることもできません。この状態は被後見人が亡くなるまで続きます。また、申し立てには時間も費用も掛かりますので中々使いづらい制度でもありました。そのうえ、弁護士などの職業後見人の中にも背任行為が出るようなこともあり制度への信頼を毀損するようなことにもなりました。
弁護士や司法書士といった法律の専門家といえ見ず知らずの他人に後見人になってもらうのに抵抗がある人がいても無理からぬことです。そこで健康なうちに信頼できる人に後見を託す制度が任意後見制度です。これは家族や知人など身近な人を後見が必要になった時に後見人となって活動してもらう契約行為で公正証書によってのみ有効になり成年後見登記をすることで有効となります。これをすることにで、認知症が進み、法律行為が出来なくなった時に速やかに後見人が家庭裁判所に申立てすることで選任を受けることができます。当社でも不動産を所有する方で将来が心配という方にはこの任意後見を勧めることもありました。法務省の統計でも任意後見の登記件数は平成20年の7,095件から同25年には9,219件、同29年には12,045件と増えています。こうして世の中にも任意後見制度が認知されていますが、最近は法定後見でも家族、親族が後見人に選任される傾向のようで、家庭裁判所の判断も資産が多いからすぐに職業後見人を選任するのではなく、被後見人との関係等を考慮しているようです。ただし、親族後見人の場合は後見監督人が指定されることが多く、費用が掛かることは避けられません。
後見制度が使いたくないという方には民事信託(家族信託)を選ぶということも方法のひとつです。いずれにしても高齢化社会の中で高齢者の財産を守ることは早目の対策が重要です。

