※こちらの記事はリニューアル前の「小浜土地建物公式ホームページ」内より転記したものです。内容は2019年4月13日時点の内容となります。
<賃貸オーナーのための相続対策>
平成26年に相続税の改正案が公表されました。相続税の基礎控除が5,000万円から3,000万円に、一人当りの控除額が1,000万円から600万円となりました。
これが発表されるとアパート建設が飛躍的に増えました。相続税対策のためです。
大手ハウスメーカーやアパート専業建設会社など建築会社は千載一遇のチャンスと受注活動に奔走しました。この結果、新築着工数は平成26年の約89万2千戸から平成28年は約96万7千戸の新築が着工され、2年間に約75,000戸の増加をみました。こうして供給が増えたことにより神奈川県内の木造アパートの空室率は2014年の約29%から、約39%に跳ね上がりました。
相続税対策には借金が効果あると言われています。本当にそうでしょうか。1億円借金してもそのお金を持ったままでは1億円の借入と1億円の現金ではプラスマイナス0で、変化なしです。そうです。借金しただけでは相続税対策にはなりません。
ところが1億円借金をして1億円のアパートを建築すると1億円のアパートは固定資産税評価ではおおよそ6,000万円程度でしょう。そこで相続税評価が4,000万円程度減らすことができ、さらにアパートの用地はおおよそ20%程度減額されます。仮に土地の評価が1億円だとしますと何もしないと1億円の土地は1億円のままですが、前述のように1億円借金をしてアパートを建設すると土地評価約8,000万円、アパート評価額約6,000万円で土地建物評価は1,4000万円です。ここから借金1億円が引かれて相続税評価額は4,000万円となり何もしないときより6,000万円も評価額が下がるのです。
このようにアパート建設は相続税対策としては魅力的です。しかし、賃貸経営には様々なリスクがあります。第一が空室リスクです。日本の住宅戸数は昭和50年代末に世帯数を超え、数のうえでは住宅は足りているのです。そして人口は減少で、世帯数の増加も頭打ちですが、住宅供給数は増加しています。第二のリスクは災害です。平成の30年間に東日本大震災はじめ大地震や水害は多発しました。第三には地域の環境の変化です。その一例が郊外に進出した大学を目当てに学生向きのアパート建設をしたが、償却も借金返済も終わらないうちにその大学が移転し、一気に空室が増えてしまったことです。こうなると当然地価も下落してしまいます。
さらにアパートを売却する時の評価ですが、今では収益物件の評価は収益還元となるのが一般的です。そのアパートの賃料が1,000万円(年間)なら期待利回りが10%だとすると売却価格は1億円です。もし、土地評価額1億円で建築費が1億円なら2億円の物が半値でしか売れないことになります。
さて、前置きが長くなりました。賃貸オーナーの相続対策ですが、相続対策には主に三つ、まずは分割対策、そして納税対策、最後が節税対策です。相続人が一人でしたら分割対策は不要です。相続財産が控除額以下なら納税対策も不要です。しかし、賃貸オーナー様でしたら基礎控除で収まる方はいらっしゃらないでしょう。そこで分割対策を最初に考えましょう。アパートなど不動産は分割が難しいものが多いですし、価値の異なるものがほとんどです。複数の相続人に公平感のある分割を考えるのは簡単ではありません。
次に納税対策です。納税のためにアパートなどの賃貸物件を売却せざるを得ないようですと評価は下がったけれど、売却価格が収益還元評価で取得価格からみて大きく目減りすることになりかねません。アパート建設はこのことを考慮しなければなりません。
節税対策でのアパート建設は借入が大きな効果を生みますが時間が経過し返済が進みますと差し引ける借入金が減ってきます。ですから慎重に行いたいものです。
相続税対策としては相続財産から評価を下げる、現金を他のものに変えることになりますから、大規模修繕などは相続発生前に行う事は節税と賃貸経営の健全化と一石二鳥の効果があります。また、賃料収入の安定した物件であれば相続時精算制度を使って贈与をすることも考えられます。
借金や相続対策でのアパート建設は賃貸経営を考えて慎重に行う事が重要です。建設会社や住宅メーカーの勧めに簡単にのっては禍根を残すことになります。
