※こちらの記事はリニューアル前の「小浜土地建物公式ホームページ」内より転記したものです。内容は2019年3月3日時点の内容となります。
<相続相談の現場から>
子供の無い妻からの相談。子供の無い夫婦でご主人が突然亡くなられました。普段から健康に自信のあったご主人は遺言はもちろん自分が亡くなることなど露ほども考えていませんでした。ところが70を前に突然亡くなられました。
相続人は奥様とご主人の兄弟3人です。主な財産は自宅の土地と建物。その他に退職金の残りの定期預金が1500万円、長年勤めた上場企業の株が2万株、亡くなった日の終値で550万円でした。自宅土地は150平米で路線価は16万円/平米ですから2400万円、建物は築35年で190万円です。相続財産は4640万円です。
法定相続人が4人ですから基礎控除は5400万円ですから相続税の心配はありませんでした。
ご相談見えた奥様(未亡人)に「税金の心配は大丈夫ですね」とお話しすると、ちょっと安心された様子でした。しかし、次の一言で私は考えてしまいました。それはご主人のものだと思っていた自宅土地が亡くなったご主人のお父様の名義のまま15年の相続登記がなされていませんでした。奥様はご主人から「親父の相続はすべて片が付いている。弟たちには当時現金が渡され自分がこの土地を相続したから弟たちからは文句は出ない」と聞かされていたそうです。
しかし、3人の弟さんたちの主張は違っていました。「親父が亡くなった時、兄貴が税金もかからないから相続は手続きも無くても大丈夫。お前たちには親父の定期預金から一人に100万円やるから文句を言うなとは言われたが納得した訳ではない。」とのことです。
さて困りました。「全財産を妻に相続させる」の遺言があれば定期預金と株式はすべて奥様のものです。兄弟姉妹には遺留分がないからです。しかし、このケースでは残念ながら遺言がありませんからご主人の財産も4分の1は弟たちに相続権がありますし、自宅土地はお父様の相続をしなければなりませんから4人兄弟で4分の1ずつになりますが奥様の取り分は4分の1になりません。相続人が配偶者と兄弟ですから配偶者4分の3、兄弟4分の1となり、土地の4分の1のうちの奥様の分はその4分の3です。これで話し合い(遺産分割協議)が出来なければ法定相続割合でやるしかありません。
自宅土地2400万円は売却して金銭分割することになるでしょう。遺言で全財産を妻になら奥様は600万円から150万円が弟3人に渡さなければなりません。従って、土地の取り分は妻450万円、弟Aは650万円、弟B650万円、弟C650万円。自宅建物と金融財産は妻1680万円、弟Aは560万円、弟B560万円、弟C560万円となります。土地と併せると妻2130万円、弟Aは1210万円、弟B1210万円、弟C1210万円になります。これを実現させるには妻の住む自宅を売却しなければできないという悲劇が待っています。2020年4月以降でしたら民法改正の配偶者居住権で妻の居住(生活)は大幅に保護されますが現行では4人の話し合いで弟たちが温情ある理解を兄嫁にしてくれなければ妻は夫を亡くした悲しみのうえ住まいまで失くしてしまうことになります。
自分は健康に自信があるだけでは本当の愛情を示すことは出来ません。民法を理解して冷静に現実的な対応をすることが必要です。
ご相談に見えた未亡人の話し合いが円満に出来ることを祈っています。
