相続あれこれ 2020年2月号

※こちらの記事は過去に配信していたオーナー様向け情報より転記したものです。内容は2020年2月14日時点の内容となります。

2020年の民法改正により、相続に関するルールも変わります!

 2018年7月6日に「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」が成立し、7月13日に交付されました。相続法については約40年振りに改正され、相続の仕組みが2019年1月から段階的に変更・新設されています。全体的に相続の手間や面倒が減って、より公正な内容になりつつあります。今回は2020年4月1日から施工される【配偶者居住権】について解説します。

これまでは、配偶者が遺産分割で自宅(被相続人の家)を取得すると、遺産の内容や額によっては他の財産を受け取ることができず、生活費が不足するなどの問題がありました。
今回の改正により、家は他の相続人が相続し、配偶者は配偶者居住権を取得することで、家に住み続けながら他の財産も受け取れるようになります。
配偶者居住権とは、相続が発生する前から住んでいた配偶者がその自宅の権利を相続しなかったとしても同じ持ち家に住み続けられるようにする権利です。

この配偶者居住権には大切なポイントが3つあります。

① 「配偶者が自宅の権利を相続しなかったとしても」という点です。もし、配偶者が自宅の権利を相続すれば、当然その自宅に住み続けることが可能ですが、配偶者が自宅の権利を相続しなかった場合には、権利を相続した人から、自宅を追い出されてしまう可能性があるため、配偶者がその自宅の権利を相続しなかったとしても、その自宅に住み続けるという新しい権利が配偶者居住権です。

② この権利は、相続が発生した時点で、その自宅に住んでいた配偶者にだけ認められた権利です。よって別居をしていた夫婦の間では認められません。
注意点は配偶者居住権は登記をしなければ効力を発揮しないというところです。遺産分割協議で配偶者居住権を相続することが決まっていても、登記をしないままにしていると、新しい所有者が勝手に売却してしまうなんてこともある可能性がありますのでご注意を!

③ 配偶者居住権は配偶者の死亡によって消滅し、売却・相続をさせることができません。
配偶者居住権は、あくまで配偶者にだけ認められた特別な権利です。そのため相続した配偶者は、その権利を売却ができないようになっています。合わせて、その配偶者の死亡によって消滅するため、権利を誰かに相続させたりすることもできない仕組みになっています。
配偶者居住権が消滅した後は、その他の権利を相続していた人が、その不動産の権利を所有(相続)することになり、通常の所有権に戻ります。

配偶者居住権の最大のメリットは、自宅を相続せずに住み続けられる点です。
一般的に自宅は相続財産全体に占める財産割合が大きいため、自宅を相続するとそれ以外の財産が目減りし、逆にお金を求めると自宅を処分せざるを得なくなります。処分することで、配偶者は新居を探すにもお金がかかるし、特に高齢の方であれば賃貸住宅に住むのも一苦労です。この制度は配偶者が亡くなるまで安心して暮らすためには必要な制度なのです。